西洋医学とボディワーク

【 今も昔も 】

お客さまとお話ししていてふと気づく。

西洋医学に若干の嫌気が差したのも転職した理由の一つではあるのだけど、よくよく考えてみるとやっていることが同じだっだりする。

 
 
チネイザンはおなかのマッサージなのだけど、必要があれば胸にも頭にも触れる。

胸骨あたりに触れていると結構な感じで手が呼ばれる場所があって、そこって心電図の胸部誘導の一番目。 

次の左房のV2よりも圧倒的に右房のV1に導かれる。

心電図検査者にとってV1は絶対に外せない胸部誘導の基点。

そして東洋医学者にとっては神封。

神=心を表し、心臓を体表に表す場所の区切りの部分である、のだという。

ツボのことはわたしはよくわからないが、胸が詰まった感じがする、思いをうまく表現できない、なんて時はこの辺りがわさわさしている。

わさわさが取れると、胸がすっきりする、呼吸が深くなる、なんて体感が来る。
 
 
 
そしてもう一つ。

病院勤務時代に非専任業務にしては珍しく病理組織診というものを担当していた。

主には手術で摘出した臓器や内視鏡下で採取した組織を、医師が診断するための標本に仕上げる業務。

ガンのために臓器を摘出した場合、腹腔内のリンパ節転移を確認するために周囲の膜や脂肪部分からすべてのリンパ節をより分け顕微鏡下でガン細胞の有無を確認する。

場合によっては半日がかりになることもあるのだけど、ホルマリンの匂いに酔いながら指先の感覚だけを頼りにコリコリを探し求めるその手作業が、わたしは嫌いではなかった。

そして今は皮膚の上からではあるけどおなかの中にある硬いものを探してはゆるめて開通させるという施術をしている。

表皮上とはいえそのこりこりに対してどの角度からどの強さで触れるとご機嫌になってくれるかと会話しながら進めていくのはまたいとおかしである。



人体に対してどうアプローチするか、という違いだけで人のお身体に触れ、その言い分のサインを顕現化させるということに今も昔も何ら変わりはないのだと考えると、結局はそういうお役目なのだと抗わないことこそが愉しいなーとつながっていられるありがたい道なのだと思っている。