【 想いを伝える 】
もう20年以上も前のこと。
とてもとても大好きだった憧れの女性がいました。愛情深く、面倒見もよく、寂しがりやで、でも男前な部分もあり、頼りになる人でした。
出会って間もない頃、わたしは交通事故に遭い、結果的に裁判沙汰になりました。
二十代半ばの世間知らずの、一人暮らしでパートナーもいるかいないかくらいの私にはとても辛い時期。
その辛い時間をご飯に誘ってくれたり、遊びに出かけたりして家族総出でサポートしてくれました。
そんな中、とあることでまた一つ助けていただいたことがあり、
「明日、お礼を言おう」
と思って寝入ったその夜中にご家族から電話があり、彼女が交通事故で亡くなったことを聞かされました。
享年27歳でした。
タイトルに掲げた「想いを伝える」というのは、ここ数か月ほど自他からやってきているキーワードです。
当時の(そしてつい最近までの)私のように、「明日でいっか」の明日が来ないことだってあるわけです。
伝えたかったことが「ありがとう」だったことが余計に悔やまれてなりませんでした。
でも今では、彼女には必ず伝わっていると信じていますし、彼女の存在に励まされることも多々あります。
人の心の中に生きるとは、こういうことなのだと勇気を送り続けてくれています。
想いを伝える。
パートナーシップ、家族、職場、友人との関り、それらすべてにおいて、私たちはついつい足りない部分に意識が向きがちです。
そしてそういうことは簡単に伝えることができる。
なのに、感謝だったり、称賛だったり、美しい言葉は伝えることが難しい。
それはプライドであったり、照れであったり、もう不要で雑なものから阻害されているだけなのだけど。
もう一つ最も大切なことは、「自身の想い」に気づいていない、感じることができていないことも多いということです。
もちろんそれは良い悪いではなく、ただそうあるというだけです。
怒りや嫌悪感の下に隠された本当の想いをまずは知ること。
そしてその想いを素直に伝えることができれば、コミュニケーションが高まるだけではなく、いわゆる幸せという感情と共に生きていられるのだと思うのです。
今ジレンマを抱いている問題の根底にあるあなたの本当の想いはなんですか?
大切にしてほしい。触れてほしい。存在を認めてほしい。
もしかしたら、きっとそんなことかもしれません。
そんなシンプルな想いを、身近にいる大切な人にそーっと伝えてみませんか?