豊かさとはていねいにやること

中医学講座で印象的だったお話のひとつ、お茶をいれるという作業についてのお話。

お茶を入れるという動作

 

やかんに水を入れる、その音と重さの変化を感じる
やかんを火にかける、その火の揺らぎ、火の香り、熱を感じる
水が温まり蒸気が出てくる、その蒸気の色、室温の変化を感じる
お茶の葉を準備する、その触感、葉の香り、色を感じる
急須にお湯を注ぐ、そのやかんの温度、お湯の落ちる音、葉の香り、色の変化を感じる
好きなお湯呑み、カップを準備する、その触感、わくわくを感じる
ゆったりと作法を愉しむ、その香り、温度、色、湯気が立ち込め水が滴る様を感じる

そしていよいよ色、香り、温度を感じながら口に含みその存在を感じる
舌や鼻腔を抜ける香りを感じながら喉を通っていく流れを感じる
身体の内側で起こる温度の変化、血流の変化を感じる

残り香を感じながらほっと息を吐き出す
身体も心もゆるみ力が抜けるのを感じる

分解した動作の在りかは潜在意識

 

さて最近の私たち、こういった侘び寂びをすっ飛ばしてしまってはいませんか?

意識しなくても潜在意識の働きでお茶を飲むことはできるし、この動作も感覚もちゃんと潜在意識に入り込みます。

確かに経験したのに意識化できないことってありますよね。

 

実は経験した動作や感情は潜在意識に入り込んでいきます。

人間の意識のうち5%が顕在意識、95%が潜在意識。脳はとっても燃費が悪いので特に重要事項だと判断された意識は潜在意識へと畳み込まれます。

目的はそこなのか?


お茶を飲むことの大きな目的は水分摂取なので結果的に「身体に水分が入ってくればOK」であることに間違いはないでしょう。

であればお茶ではなくお水で十分。

ただしお水を飲むにもたくさんの意識を使ってこそ身体が水を吸収してくれるというからくりもあります。

お水を五感で感じ、口に含み、お水であることを意識しながら飲みこむ。だからこそ身体は水を水として認識します。

ここで言いたいことは、お茶を飲むという動作が持つ感覚の広さ、です。

ゆったりとした時間を過ごす、リラックスする。テレビやスマホに気を取られず自分自身を感じるひと時でもあります。

(例えば)お茶というアイテムを選択した時点で、潜在意識下ではきっと安らぎを求めているのではないだろうか?と思うのです。

豊かな人生とは

 

目で見る、鼻で嗅ぐ、耳で聴く、舌で味わう、肌で感じる。

この折り畳まれた意識を呼び起こし感覚としてがっつりと味わうとは、この五感を改めて取り戻すことにあります。

この潜在意識にある感覚はクリティカルフィルタを通さない純粋な感覚であり、すなわち「わたし」自身を現わすことになります。

 

わたしがわたしであるという状態。例えば「豊か」な人生というのは、こんな感覚の連続に他なりません。

心が忙しいと自分自身に意識が向かず、結果として心身の不調となって現れます。

忙しい毎日の中でどれだけゆとりを作ることができるか。これは誰のせいでもなくあなた自身の選択です。

思い通りの人生、ストレスなく自分らしく生きる人生を望むのであれば、五感を磨くということを意識してみるというのも一つの方法です。

ていねいに


 
今日は素晴らしい出会いがあり、嬉しい仕事始めとなりました。だからゆったりとていねいにチャイを入れています。

最近手に入れたクロック・ヒン(タイの嫁入り道具)でスパイスをごんごんと叩いてしっかりと煮込むとろんとしたチャイ。

叩く度に芳香が漂い、熱を入れるごとに、ショウガや紅茶葉を入れるごとに、香りが変化し温かさで満たされていきます。

意図せずとも呼吸が深くなります。

そんな環境で五感全部を使って愉しみながら今年やりたいあれこれを妄想中です。

わくわくして仕方がない。